小説

□喉が潤う
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朝目が覚めるとボクの下にトリコがいた。


「…………!?」


何で!?
と、声にする前に頭痛がボクを襲った。

両手でこめかみを押さえながら起き上がる。


「………」

どうしてトリコが此処にいるのか分からない。
頭痛がするのは疲れすぎたからだろうか。

ボクは、何をしていたのか。
少しずつ昨日の記憶を辿る。


「(たしか、二人で一旦帰ることになって…)」

そうだ、ボクは喉が渇いて水を飲んだんだ。

それで?

…それで、部屋に戻った。

「……よく覚えてないな」

部屋に戻ったとこまでははっきりと思い出せた。

これ以上思い出そうとすると、頭痛がひどくなりそうだ。


あぁ、トリコに聞けばいい。

ボクはそう考え、トリコの肩を揺すった。


「トリコ」

「んー…」

眠そうな声を発しながらごろんと転がりボクに背を向けた。

「トーリーコ!」

「!」

耳元で呼んでやるとびくりと飛び跳ね、トリコの頭とボクの額が勢いよくぶつかった。

「いてぇ…」

「っ……」

両者共に頭を抱える。
先に復活したのはボクのほうだった。

「朝っぱらから元気だな、トリコは…」

何を言い返してくるのかと思いきや。

「コ…うわっ!?」

「は?」

人の顔見て驚くなんて。
ボクは何もしてな……?

何かしたからトリコが驚いてるのか?

トリコの電磁波を読み取ると、驚き、不安、興奮。…興奮?

何でかはよく分からないけど、パニックなのはよく分かった。


パニックなのはボクの方もなんだけどね?
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