小説
□喉が渇いた
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「…はぁっ…はぁ…」
「ココ、大丈夫、か…」
「なんとか、ね…少し毒を使いすぎた…」
二人は修行中だった。
まだまだボクもトリコも弱い。
捕獲レベル19がこんなにも強いだなんて思いもしなかった。トリコの威嚇にも、ボクの毒にも強い相手でかなりてこずった。
「ココ、一旦帰ろうぜ。ちゃんと水分補給しとけよ」
「ああ…」
喉が、渇いた。
ボクの毒は体液から精製されているから、使いすぎると貧血、ひどくなると脱水症状を引き起こす。
今回は、その一歩手前といったところだろうか。
ボクもトリコもフラフラとした足取りで寝床へと向かった。
「ふぅ…………」
寝床、といっても野宿とかではなく、木造のプレハブだ。これもボクやトリコ、サニーとゼブラとで作らされたものだ。
どうせ修業が終われば壊されるんだろうけど。
ちょっと広めのリビング、小さめのボクらの部屋。がたいのいいトリコとゼブラはよく文句を言ったものだ。
…あぁそうだ、トリコが言ったように水分補給をしないと。
面倒臭い体質だと何度思ったことだか。
イライラしている自分に嫌気がさし、舌打ちをしながらもリビングへと向かう。
ガタガタのテーブルの上に、出しっぱなしのビンとコップが置いてあった。
トリコが飲んだのだろうか?
コップの中には微かに水が残っていた。
「まったく…片付けくらいしろよ…」
出してあるついでだ、洗い物が増えるのも嫌だし、ボクもそのコップを使わせてもらう。
コップにビンの水を注ぐ。
水はたしかトリコが汲んできた。
この修業のほとんど自給自足だ。
本当に、面倒臭い。
喉が渇いていたのでボクは一気に水を飲み干した。