小説
□trick and treat??
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今日はハロウィンだ。
もちろんボクはそんな子供の遊びなんて興味ないし、甘いものも苦手だ。
だけど、そんな子供の遊びに本気な人物もいる。
甘いものが好きで、というか食べられるもの全てが大好きなアイツ…そう、トリコだ。
そんなトリコのために、わざわざ誰も訪れない自分の家を飾り付け、大きなカボチャをハロウィンらしくくりぬいた。
余った中身で甘い甘いカボチャのタルトを作った。
多分まだ足らないだろうと思う。
なんたって、四天王一の「食いしん坊ちゃん」なんだから。
「ふぅ…」
端に転がっている大量のカボチャに目を移す。
「……………」
まさかボクがこんなことをするなんて、思いもしなかった。
これもみんなトリコのせいなんだ。
そう自分に言い聞かせつつ、再びカボチャをくりぬいていく。
(トリコが来るのは…夕方かな)
そう直感で感じた。
占わなくてもトリコの大体の行動は把握している。
それでも、時折信じられない行動を起こすときもあるのだ。
ボクの占いが外れる原因はほとんど彼にあると言ってもいいかもしれない。
思わず口元が緩んでしまった。
その外れる元凶のトリコに、だ。
自分もどうかしている。
外れるのに、嬉しいなんて。
玄関の一番大きなカボチャのキャンドルに小さな焔を灯した。