小説

□味噌汁プロポーズ
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「な、なぁココ…」

「なに?」


やばい、緊張してきた。
あれ?なんて言えばよかったっけ。

思い出せない。

ココが不思議そうに見つめてくる。


頼む、今だけ視線を外してほしい。こんな顔、恥ずかしくて見せられねぇっ!


「なんだよトリコ?」


ココが、少し笑っていた。

もしかして、気付かれてるのか…?
たしかにココはオレの電磁波で何を思っているのか、大体予想できるだろう。


オレだって男なんだ、ズバッと言ってやる!!



トリコが勢い良く立ち上がった。







「ココ!毎日オレのために味噌汁作ってくれ!」



よーし、(何か違う気がするけど)言ったぞっ!!



ココは微妙な表情をした後、こう言った。




「味噌汁だけでいいの?」

「は?」



え、これってOKなのか?

いや遠回しなNOなのかも知れない。

遠回しすぎるか?


「ココ…あのよ、一応オレなりのプロポーズ、だったんだが…」


ココはまた少し笑っていた。

「………味噌汁プロポーズか?」



なんだそりゃ。

オレも、味噌汁じゃなくて別のことが言いたかったのに。

何で味噌汁プロポーズなんかしたのか自分でも不思議でたまらない。


「トリコ、緊張しすぎてるだろ」

「ココはまったく動じないのな」


ちょっと悲しいな。


「ねぇトリコ?」


ココがずい、と顔を近付けてきた。

思わず退こうとしたが、ココの手がオレの肩を掴み、それをさせなかった。
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