23カラットの、指環。

□初雪
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初雪







「・・・ん?」


あたしはあまりの寒さと部屋の明るさで、目を覚ました。

文机に置いてある目覚まし時計は、起きるべき時間からまだ1
時間も前だと教えてくれる。



「寒いなぁ・・・」


寮の暖房器具といえばエアコンしかなく、寒々とした空気が容赦なくあたしの頬をちくちく攻撃する。

そして、6時だというのに部屋がやけに明るい。


「もしかして・・・」


急いで2段ベッドから飛び起き、窓のカーテンをシャッと開けた。


「雪・・・」


道理で明るいと思ったら、それは今年初めての雪で・・・。

うっすらと積もった冬の使者。
いくつになっても、初雪を見たときはワクワクする。


でも・・・あたしのささやかなワクワクはけたたましく鳴り響く携帯電話で、雪のように儚く消え失せた。


「泉さん!朝早くに申し訳ないんだけど今すぐに現場へ急行し
てちょうだい!交通機関が麻痺している上にレイバーの衝突事
故が多発して手が足りないの!」


宿直だった熊耳さんからだ。
あ〜あ・・・北海道ならこういうことないんだけどなぁ。
あ、そうそう。


文机の引き出しから、こないだ実家から送られた手編みの手袋とマフラーを取り出した。

それから・・・大量のホッカイロも。

手袋とマフラーはあたし用。
ホッカイロは・・・人一倍寒がりな遊馬用に。


きっと今頃(冗談じゃないぜ!くそ〜なんで今日に限って積も
るんだよ!!)ってキレてる頃だ。


彼の手に、そっと渡すんだ。

手だけじゃなくて、心も溶かすように暖めてあげるんだ。


「・・・って和んでる場合じゃな〜い!!あわわ・・・どーし
よ!バイクにチェーン巻かなくっちゃ!!!」

今日は忙しくなるぞ。
頑張れ、あたし。





−−−−−−−−−


相互記念ですって。
こんな素敵なもの申し訳ないですが、ちゃっかりしっかり頂きます(←


うにうにさま、ありがとうございました!

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