頂きもの
□満天の月
1ページ/2ページ
夜の月は綺麗で元の世界よりとても大きかった
「まだ起きていたのか」
アヤは少し驚きながらも彼を見た
「あ…レイドさん。なんだか眠れなくて…」
アヤの隣に腰掛けると同じ様に月を見上げる
「この世界に来てから一年経ったけれど、君はいいのかい?」
「…正直言うと元の世界に帰りたいと思うときもあります…」
せつな気な顔が脳裏に焼き付く
「そうか…」
「この世界が嫌いではないです。皆さんは今でも私に優しくしてくれて…毎日とても楽しいです」
こうしてこの世界で時が流れているということは、あっちの世界でも時が流れているかもしれないていうこと
「元いた世界の友達や後輩、親はどうしてるのかなって思うとなんだか急に苦しくなります…」
「きっと君が突然いなくなったことを心配しているかもしれない…」
「今の私にはこのフラットという家族がいるから」
無理矢理な笑みが妙に寂しくて
彼女の頭をぽんぽんと叩く
「家族…か。フフ、その通りかもしれないな…」
最初は少し不思議そうな顔をしていたけど、だんだん口元が緩んで、気が付くと二人で笑いあっていた
「そろそろ戻るとしようか」
「はい」
差し延べられた手を握って立ち上がる
気付けば一時間も経っていた
長いようで短い時間
今夜もぐっすり眠れそうです……
fin...