頂きもの

□好きなのに、好きだからこそ
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「やっぱりラショウは、シルターンに帰りたい?」



そう聞いた時、私は自分が上手く笑えているかどうか分からなかったけれど。

でも、ラショウが珍しく優しい顔をして――けれど、どこか寂しそうな目をして――笑ったものだから、気持ちが一気に沈んでいくのを感じた。




(ラショウが帰りたいと言うのなら、私は笑顔で見送らなくちゃ)


――泣きたいくらい辛いなら、帰らないでって言えばいいのに。


(ううん。それは、私のワガママだから)









side:r



「やっぱりラショウは、シルターンに帰りたい?」



そう聞いてきたプラティに、俺は一瞬呆気に取られてしまったわけだが。

必死に笑みを繕って、俺の表情を食い入るように――けれど、どこか悲しそうに――見つめるその澄んだ瞳に、不覚にも泣きたい程の嬉しさを感じてしまったわけで。




(このまま、お前を抱き留められたなら)


――けれど、俺にアイツの未来を奪う権利はねぇ。


(わかってる。でも、出来ることなら、お前と一緒に)






そう。
もしも、叶うならば。


共に未来を。
同じ時間を。

これからも、ずっと、変わらずに。


けれど、そう言葉にできないのは、二人の相手を想うが故の優しさが壁となるから。





好きなのに、好きだからこそ。




(言うわけには、いかない)





END.

H21.5.10.
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