頂きもの
□からまった糸はそのままで
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ただ、同じことをして同じ時を過ごしているだけ。
他意はない。
今までだったら…
からまった糸はそのままで
「あれ?」
自分の向かいに座っている綺麗な赤髪の少女が、首を傾げて声を上げた。
それまで静かだった空間に響いた、さほど大きくもなかったその声は
沈黙を破るのには充分な効果を持っていた。
アタシは、自分の手を止めて彼女に微笑んだ。
「どこ?」
「それが分かったら苦労しません!」
一見淡泊な質問だが、彼女に通じたのは、さっきから時たま同じ失敗をしているから。
しかし彼女は失敗したというのに、なぜか笑顔で強気。
まぁその潔さが彼女らしいんだけど。
じーっと少し体を強ばらせて、自分の手元を見つめる彼女の視線を感じながら、アタシは手を動かした。
「あっここが抜けてるわ。はぁいこっからやり直し〜」
「うぅ…」
しゅん、と小さくなった彼女は不謹慎だがかわいいと思う。
アタシは彼女が安心する優しい笑顔で言う。
「アティ、休憩にしましょうか」
そう言うと、アティは目を輝かせて頷いた。
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