拍手御礼文

□第4期
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『もし、"当たり前"にあるものが無くなったら?』



考えた事ある?



例えば空気や、家族や、自分にとって無くてはならない、大切なもの。


けれど、それはあくまで想像。、


空気は胸一杯に吸いこめて、家に帰ると「おかえり」と言ってくれる人が居るだろうと思う。



そして、安堵するんだろう。



無くなってはいない現実を確認して。



悪夢をみた後みたいに。






…――けれど、


私は違った。




目覚めても、彼は居なくて。



解っていたはずの彼の存在の大切さは、本当はもっと大きくて。


"当たり前"だと思っていたのは間違えで。



私、馬鹿だな、と思ったんだ。





だから、




「………ネス」

「トリス?」

「手、繋いで帰ろう?」

「ああ…」




"当たり前"はきっとあんまり確かなものじゃ、ないから。


無くさない努力が必要で。




この手の中の温もりを、私は二度と離さない。離したくない。

絶対に。



「君はバカか」
「はい?」



「……何処にも行かない、と言ったじゃないか」




驚いて見上げた顔には、優しい笑み。



(かなわないなぁ…)



それにとっておきの笑顔を返して、



「うん!」



私はしっかりと頷いた。





…――今度こそ、守ってみせるよ。


誰よりも大切な貴方を……。




END.
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