拍手御礼文

□第3期
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初めまして。

リューガ家の執事、セバスチャンと申します。


今回は私の目線から見ましたリューガ家の1日をお送りします。



†††




朝。

レムオン様はいつものようにお起きになられて、朝食をお召しになりました。


「今日は城に行く用事も、会食も特にないな?」
「ええ、何もはいっておりません」


レムオン様は満足気に頷くと、


「なら、今日はほとんど執務室にいる」
「解りました」
「………セバスチャン」
「何でしょう?」


主は言いにくそうに言いました。


「菓子は切らすな」
「……?ええ、もちろんです」
「できるだけ甘いものを」
「……はい、解りました」


私はにっこりと笑う。


「そろそろ、イルティ様が帰って来る頃ですからね」
「そういう意味ではない!俺がたまたま食べたかったのだ!」


私が笑いながら承知の意を示すと、レムオン様は憮然とした顔のまま執務室に籠もってしまいました。



そして昼。


「ただいま、セバスチャン」



奇跡的に今日イルティ様が帰って来ました。


「お帰りなさいませ、イルティ様。お疲れ様でした」
「うん、ありがとう。…今日は兄様は?」


執務室へ続く廊下を覗き込むイルティ様を微笑ましく思いつつ、答えました。


「今は執務室にいらっしゃいますよ」
「入っても大丈夫かな?」
「ええ。後程、ケーキと紅茶をお持ちします」
「うん!」


満面の笑みで頷いて、イルティ様は執務室に向かいました。



少し長めにお茶の準備をして、執務室へと向います。


「…………?」


静かです。

普段なら、イルティ様の元気な声が聞こえるはずなのですが。

トントン。


ノックをしても返事がありません。

しようがないがないので、ゆっくりとドアを開けました。



「……フフ」
「笑うな」



憮然とした顔で、主は言いました。




イルティ様が眠っていました。

レムオン様に寄りかかって。





「お疲れだったのでしょう」
「…解っている。だが、迷惑だ。動けない」



けれど、そう言いながら主は彼女をどかそうとしませんし、寝顔を見つめる表情はどこまでも優しく映りました。


……これは邪魔をしてはいけませんね。


「では、お茶とお菓子は一度下げます。イルティ様が目を覚まされましたらお呼び下さい」
「解った」



私は一礼して、部屋を辞しました。



それから夕方程になって目を覚まされたイルティはお茶飲み、暗くなる頃に宿へ帰ってしまいました。



もっとも、レムオン様は何やら文句を言っていましたが、つまりはイルティ様ともっと話したかったという事でした。



そうして、今日一日は平和に過ぎていったのでした。





では、今回はこれで終わりでございます。


最後まで、ありがとうございました。



FIN.
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