拍手御礼文

□第1期
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「ねぇ…レムオン。ごめんなさい……」


ずっと、傍に居たかったのに。

貴方に笑顔をあげたかったのに。




「ごめんなさい」




私は、貴方を置いて逝く。














「イルティ……」


頬に暖かな感触。


目を開けると、愛おしい者達の姿が映る。


自分の血を分けた子供達と、その子供達。



そして、



「………レムオン…」



愛おしい人。

けれど、もう、傍にいられない。


「……ごめんなさい…」



謝り続ける私に彼は優しく微笑む。



「お前は最後まで傍に居てくれた……。守る者もくれた。私は、大丈夫だ」



私はじっと彼を見つめ、力を振り絞って彼の頬に手を触れた。




「……ありがとう…」



あの日、故郷を追われた自分達に帰る場所をくれた事。

たくさん、たくさん、守ってくれた事。

大切で愛しい日々をくれた事。



…――そして、



優しい嘘を、最後に――…




†††




頬に触れていた手が、力を失ってベッドに落ちる。



「イルティ……?」



無駄だと知りつつ、名を呼んだ。



もう、応えない。


もう、あの強い光を持つ瞳を見られない。


もう、笑ってはくれない。




後ろで、子供らの泣く声が聞こえたが、自分の紅い瞳は乾いていた。




もう、会えない。



「おとう、さま……」



もう―――…




一番年長の娘が、そっと肩に手を置いた。



「もう、いいんです……。もう泣いても、いいんです。お父様は嘘が、下手くそだって、お母様、言って……っ」
「………ああ……」



やっと、涙が零れ落ちた。


本当は、


『もっと傍に在りたかった』


そう言いたかったのに。


けれど、彼女はそんな事、わかっていたのだろう。














……いつか、俺がお前の傍に逝くときは、待っていてくれるか―――?






「……イルティ」




誰よりも、いつまでも、お前を愛している。


きっと。





「………ありがとう」






Fin.
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