Summon Night

□決意
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シャルトスが砕け散ったあの時、彼女が必死に支えていた何かが一緒に壊れた気がした――
















キュウマはゆっくりと鎮守の社へと続く石段を登っていた。

今は各自戦闘前の準備時間なので、あまり長くは居られない。

けれど、どうしても此処に来たかった。



上に登り着き、今は亡き主君の墓の前に跪く。


「行って参ります」



大切な者達を守る為に。

貴方が守った優しい場所を守る為に。

彼の人が夢見た楽園の為に。


そして――



(あの優しい笑顔の為に、自分は行きます……)


もう、守れないのは嫌だった。
自分は二度も大切な人を守れなかった。

でも、今度はまだ間に合う。

まだあの笑顔を守る事ができる。



その為なら、何だってしてみせる…――




一度、それを消そうとした自分が、そんな事を願う資格など、ありはしないかもしれない。

けれど、


守りたいと、傍にいたいと、向けてくれる笑顔を嬉しいと思うようになったのは、いつからだったか。



彼女を失えば自分は"自分"を保てなくなる。


だから、



今度こそ、守ってみせたい…――


(見ていて、下さいますか?)



命令でも使命でもない、自分自身の意志で赴く戦いを、最後まで。










キュウマは"それ"に気付きゆっくりと後ろを振り向いた。


―――――…足音。



祈るような思いで見つめる先で、踏み締めるように石段を登ってきたその人は―――



「心配かけちゃって、ごめんなさい」



ゆっくりと、その顔に微笑みを浮かべた。






END.

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