Summon Night
□伸ばした手
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解らなくなってしまったんです。
私がこの選択をした理由。
自分の想い、望みが進むべき道を閉ざしてしまう。
―…誰か、誰か、私を…――
朝、アヤは広間へ向かっていた。
「アヤ、おはよう」
「あ、おはようございます。レイドさん」
彼の声にアヤは振り返り、にっこりと笑った。
二人並んで、広間へ。
「騎士団の方はどうですか?」
「順調だよ。志願者も多いし、私達がいない間、イリアスが頑張っていてくれていたからね」
「イリアスさんも真面目な方ですからね」
改めて、彼が副団長として騎士団に復帰してから、もう数ヶ月になる。
真面目な彼は寝る間も惜しみ、空白を埋める努力を怠らなかった。
だから、こうして話をするのも久しぶりだと、アヤは思う。
レイドはいつもより幾分嬉しそうに笑う彼女の顔をみつめ、
「アヤ、今日の夜、前みたいに2人で話さないかい?」
「…え?」
彼の顔を見ると、とても真剣な顔をしていた。
「…ええ、いいですよ」
「ありがとう…」
そう言って先に広間へ向かったレイドを、アヤは泣きそうな顔をして見つめていた…――。