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空担当→昶夢
「…はあ」
あたしは今日も、はあと重たいため息を一つつく。
今頃あたしの彼氏、昶はきっと命の危険にさらされながら戦っているのだろうか。
そう考えるとため息を吐かずにはいられなかった。
「昶…」
小さく彼の名前を呟いてみる。
この前なんて肩に穴をあけて帰ってきたもんだから心配で仕方ない。
「昶…昶…」
「あ?…なんだよ」
「え?」
真横から聞こえるはずのない声がし、幻聴が聞こえてくるほどヤキが回ったかと横を向く。
すると、そこにはほんのり汗ばみ息をきらす昶が胡座をかいて座っていた。
「え!!?いつきたの!?」
「お前が俺の名前連呼してるあたりからな」
昶の言葉を聞き顔に熱が集まってくるのがわかる。
気付かなかったが部屋の窓が開いていた。
「…おお…っお帰り昶!」
どきまぎしながらも笑顔で言う。本当はもっと話したい事たくさんあるし伝えたい事だってあるのに今はただ、この言葉しかでてこない。
昶の無事を確認するやいなやあたしは少しだけ泣きそうになった。
「…おう。ただいま」
あたしの顔を見てから昶は顔を赤く染めた。
そして突然頬に昶の暖かく柔らかい唇が触れたと思えばぎゅ、と強く抱きしめられた。
「え…っ?な、どしたの…っ?…昶?」
「…るせ、少し黙ってろ」
昶は少しだけぶっきらぼうに言うと抱きしめる手を強めた。
そんな昶にあたしは呟くように言った。
「…昶大好き」
今はこの言葉だけで十分。
愛してるより
大好きの方が
二人には合っているよね?
あたしの言葉に昶は沸騰するんじゃないかってくらい赤くなっていると思う。
そんな昶を可愛いなんて思いながらあたしはされるがまま抱きしめられていた。
大好きの言葉ひとつ
(背伸びなんか、要らない)
(二人の歩幅で、)