MUSOU
□氷の唇
1ページ/4ページ
こんな…
何故…!
奴の…
兼続の…
直江兼続という男の顔が頭から離れぬのだ
兼続…
「政宗様。出陣の支度、整いまして御座いまする!」
「あぁ。わかった。最上の叔父御を救わねば」
「御意」
政宗の思考は部下によって遮られる
政宗は、兜の紐を握り立ち上がると
馬に跨がり腹を蹴る
政宗は最上を救出し、直江兼続を倒すべく
走り出す
草活きれの匂い
馬の蹄の音
甲冑の摺れる音
戦の始まり
兼続…!
目を刹那
閉じれば浮かぶ男の顔
政宗は思いを立ちきるように
剱を抜き、長谷堂に向かった