NOVEL
□‡指先‡
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「ケンって彼女いんの?」
「は!?」
突然の質問に、健は思わず声を裏返してしまい 苦虫を噛み潰したかの様な表情を見せた。
「いや、年頃だし…ι」
性格も良く、顔立ちもいい。スタイルだって悪くない…とくれば、彼女の一人や二人居たって当たり前だろうと耀爾は踏んだ。
「彼女、ねぇ…いない」
「今のうちだぜ?遊べよ」
耀爾は、しれっと言い煙草を加えた。
「遊ぶって…ヨージは遊びで付き合うのかよ?」
真っ直ぐな目に耀爾は苦笑した。
「俺の“付き合う”は意味が違うの。」
白い煙を吐き出す耀爾に、不服気に首を傾げる。
「何だよソレ?」
純粋な子供にする話じゃないと思い、口を紡ぐ。が、健の視線がそれを許さない。仕方なく耀爾は溜め息を漏らす。
「…ただ一人を愛して付き合うのは『恋人との付き合い方』で、皆 平等に愛して付き合うのが『大人の付き合い方』なんだよ」
灰皿に灰を落とし耀爾は健を見た。
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