NOVEL
□‡月下のワルツ‡<後編>
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銀色の光が風を切って遠く離れた闇の刺客を明かす。
「・・・ヨー・・ジ・・?」
ケンは驚愕し肩の痛みさえ忘れ良の横顔をみつめた。
彼の、
Weiβとしての、
ヨージとしての、
顔が そこにはあった。
それ以上に驚いたのは良自身であった。
彼は、はっとして自分の獲物を放し震える手を押さえた。
「お、俺はッ…今…ッ“何を”?」
なんだ?
今のは、俺が?
そんな、俺は…
“何者”なんだ・・・?
「教えてくれ…」
身の毛もよだつ恐怖
「知ってるんだろう……っ?」
救いを求める様に、良の眼がケンを頼った。
「…え?」
記憶を取り戻し始めてる?
ケンの中に二つの声がした。
話して思い出させたらヨージが戻ってくるかもしれない。
あの…自分が愛した、
目が、
指が、
声が。
──けれど・・・
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