NOVEL

□‡月下のワルツ‡<後編>
3ページ/10ページ



 銀色の光が風を切って遠く離れた闇の刺客を明かす。

「・・・ヨー・・ジ・・?」

 ケンは驚愕し肩の痛みさえ忘れ良の横顔をみつめた。


彼の、
Weiβとしての、
ヨージとしての、
顔が そこにはあった。


 それ以上に驚いたのは良自身であった。
 彼は、はっとして自分の獲物を放し震える手を押さえた。

「お、俺はッ…今…ッ“何を”?」

なんだ?
今のは、俺が?
そんな、俺は…

“何者”なんだ・・・?

「教えてくれ…」

  身の毛もよだつ恐怖

「知ってるんだろう……っ?」

 救いを求める様に、良の眼がケンを頼った。

「…え?」


記憶を取り戻し始めてる?

 ケンの中に二つの声がした。

話して思い出させたらヨージが戻ってくるかもしれない。

あの…自分が愛した、

目が、

指が、

声が。


──けれど・・・



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ